
「塗装の見積もりを取ったら、『納期未定』と言われた——」
そんな経験、最近されていませんか?
2026年、塗装業界では今までに経験したことのない事態が起きています。塗料・シンナー・シーリング材といった、塗装工事に欠かせない資材が次々と入ってこない——。現役で営業をしている私自身、毎日のように「いつ工事できますか?」というお客様からのお問い合わせに、「申し訳ありません、納期が見えません」とお伝えする日々です。
今回は特別編として、塗装業界に起きている異常現象を解説していきます。是非最後まで読んでください。
ニュースでも連日取り上げられていますが、現場のリアルな深刻さは、まだ十分に伝わっていないように感じます。
そして、こうした状況の中で、読者の皆さまに知っておいてほしいことがあります。
「とにかく工事を回したい」と、無理な施工に踏み切る業者が出始めている、ということ。
この記事では、
- 2026年塗料不足の現状と原因
- 現場で実際に何が起きているのか
- “無理に工事する業者”にご注意いただきたい理由
- 読者の皆さまが今、判断すべきポイント
これらを、現役営業の本音として、中立的にお伝えしていきます。
焦らず、正しい知識で、ご自宅の状況を見極めていきましょう。
そして、この記事を公開してから現場の状況はさらに新しいフェーズに入りました。“契約した塗料が届かない”という第2フェーズの現状については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
👉 契約した塗料が届かない2026年|“代用品”を信じていいのか、現場の本音
🌍 何が起きている?2026年塗料不足の全体像

まずは、なぜ塗料が手に入らなくなっているのか、全体像から整理します。
発端は、2026年2月末から急激に悪化した中東情勢です。日本が輸入する原油・ナフサの多くが通過するホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となり、ナフサの輸入が滞り始めました。
ナフサは、塗料用シンナーの主原料です。シンナーが手に入らなければ、油性塗料は作れません。やがて、シンナー不足は塗料そのものの供給不足に発展し、さらにシーリング材へと連鎖していきました。
業界の調査では、「シンナーが通常通り入手できる」と答えた塗装業者はわずか約2.7%。
日本ペイントは2026年3月、シンナー製品全般を75%値上げすると発表。日本塗装工業会は経済産業省に確実な供給確保を要望し、TOTOなどの大手メーカーも住宅向け資材の出荷調整を始めました。
さらに、当初は「油性塗料が中心の問題」と思われていたこの状況ですが、ここに来て水性塗料の供給も危うくなってきているのが、現場のリアルです。シンナー不足を受けて水性塗料への切り替え需要が急増した結果、水性塗料そのものが品薄になり始めました。
これは一時的な品切れではなく、世界情勢に直結した構造的な供給問題です。だからこそ、いつ復旧するかを正確に予測することが、業界の誰にもできない状況なんです。
📊 今、現場で起きていることリスト
それでは、現場で実際にどんな資材が、どのくらい入手困難なのか。一覧で整理します。
| 資材 | 入手状況 | 影響 |
|---|---|---|
| 塗料用シンナー | ✕(枯渇) | 油性塗料の希釈ができない |
| 油性下塗り材・上塗り材 | ✕〜△(在庫切れ続出) | 工事の根幹が止まる |
| 水性塗料 | △(需要集中で品薄が進行中) | 切替先としても確保困難に |
| シーリング材 | △(一部メーカー受注停止) | 目地補修ができない |
| 透湿防水シート | △(入荷遅延) | 外壁張替工事に影響 |
ご覧の通り、塗装工事の根幹を支える資材すべてに影響が出ています。
特に深刻だったのがシンナー。シンナーが入らなければ、油性塗料は使えません。そして、業者の手元にある油性塗料も、シンナーで希釈できなければ工事には使えない——という二重苦の状態でした。
そして、当初は「水性塗料に切り替えればなんとかなる」という空気もあったのですが、今や水性塗料への需要が殺到したことで、水性塗料も入手しにくくなっています。油性も水性も、安定供給とは言えない状況——これが2026年の現場の実態です。
さらに、私のもとにも毎日のように値上げ通知のFAXが届きます。「来週から○%値上げします」「来月から受注を制限します」——こうした通知が、連日異なるメーカーから届く異常事態が続いています。
🏗️ 現役営業として今、現場で起きていること

ここからは、現役営業として現場でリアルに感じていることを、本音でお伝えします。
お客様に「納期未定」とお伝えする日々
普段なら、お見積もりからご契約、施工開始まで、おおよその工程を「○月〇日に着工できます」とご案内できます。
ですが、今は違います。
「塗料がいつ入るか、正直に申し上げて分かりません」——お客様にこうお伝えするしかない日が、毎日のように続いています。本来お役に立つはずの提案ができず、営業として、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
一番のジレンマ|「待つべき?それとも今やるべき?」
そして、この状況で最も悩ましいのが、お客様への正直な提案です。
「じゃあ、落ち着くまで待ちます」——そう言ってくださるお客様には、本当に頭が下がります。ただ、現役営業として正直に申し上げると、「落ち着いてから」が必ずしもお得とは限らないんです。
理由はシンプルで、値上げが止まらないから。
シンナーは2026年に入ってから既に75%値上げ。塗料本体も連鎖的に値上げが続いており、待てば待つほど工事費用が上がる可能性があります。一方で、今すぐ動こうにも、そもそも資材がなければ工事はできません。
「待つ」と「動く」、どちらにもリスクがある——この答えのないジレンマに、業界全体が、そしてお客様も、直面しているのが今の現実です。
先日も、築15年のお客様から「そろそろ塗装を考えたい」とご相談をいただきました。
普段なら現地調査→お見積もり→ご提案、とスムーズに進められるところですが、今は事情が違います。「塗料がいつ手に入るか見えない状況です」と正直にお伝えしました。
お客様は「じゃあ落ち着いてからにします」と仰ってくださいましたが、私の中では複雑でした。落ち着くまでに値上げが続けば、結果的にお客様の負担が増えるかもしれない——でも、今すぐ「とにかくやりましょう」と背中を押すことも、資材が確保できない以上、無責任になってしまう。
答えに迷う場面が、本当に増えています。
⚠️ ここが超重要|”無理に工事する業者”にご注意

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
塗料が入ってこない——これは業者にとっても死活問題です。工事ができなければ売上が立たず、人件費や事務所費は出ていく一方。会社の存続が危うくなる業者も出始めています。
そんな中、現場で気になる動きが出始めています。
ホームセンター塗料で代用する業者の出現
業務用の塗料が入ってこない——だからといって、ホームセンターで売られているDIY向けの塗料を使って工事をする業者が、現場では実際に出てきています。
これ、聞こえはまだマシかもしれませんが、正直、お客様にとって本当にリスクの大きい話です。
業務用塗料とホームセンター塗料には、性能・耐候性・施工性に大きな差があります。
| 項目 | 業務用塗料 | ホームセンター塗料 |
|---|---|---|
| 耐候年数 | 10〜15年(高耐候型) | 数年〜(DIY前提) |
| 容量・コスパ | 大容量・効率重視 | 小容量・割高 |
| 施工適合性 | プロ用機材・希釈前提 | 刷毛・ローラー前提 |
| メーカー保証 | あり(業者保証と連動) | 無し |
特に怖いのが、施工後に何かトラブルが起きたとき、メーカー保証の対象にならない可能性があること。業務用塗料を前提にした施工方法とは別物なので、本来の耐候年数も期待できません。
「とにかく工事を回したい業者」の本音
なぜそんなことが起きるのか——理由はシンプルで、業者側も追い詰められているからです。
- 工事を止めれば売上ゼロ → 会社存続の危機
- 既に契約済みのお客様には着工せざるを得ない
- でも業務用塗料が手に入らない
- → 「ホームセンターで何とかするしかない」
この苦しい構造が、業界の一部でお客様の不利益につながる施工を生み始めています。
「他社で工事してもらったけど、塗装が早くも剥がれてきた」——こうしたご相談が、最近増え始めています。
伺ってみると、使われた塗料の缶がホームセンターで手に入る一般向け製品だったケースもありました。お客様は「業者さんがそれで大丈夫と言ったから」と仰っていましたが、業務用塗料を前提にした塗装工事にホームセンター品を使うのは、本来あってはならない判断です。
業者側の事情も分かります。資材が入らないなか、なんとか工事を回したい気持ちは痛いほど分かる。でも、お客様の家を守るのが私たちの仕事である以上、これだけは現役営業として、はっきりとお伝えしておきたいんです。
👀 読者の皆さまが今、判断すべき3つのポイント
では、読者の皆さまは今、どう判断すればいいのか。現役営業としての本音を3つにまとめます。
①急ぎでなければ、無理に契約しない
雨漏りなど緊急性のあるトラブルがない限り、今すぐ契約を急ぐ必要はありません。「今契約しないと値上げで損します!」という煽りには、冷静に距離を置いてください。
②契約前に「使う塗料の銘柄」を必ず確認
これがいちばん大事です。お見積もりや契約書に、使用する塗料のメーカー名・商品名が明記されているかを必ず確認してください。
「未定」「同等品」とだけ書かれている場合は要注意。業者に直接、「どの銘柄を使いますか?」と聞いてみてください。
③「水性塗料への切り替え提案」は妥当か見極める
シンナー不足を受けて、油性塗料から水性塗料への切り替えを提案する業者も増えています。これ自体は妥当な対応ですが、外壁の状態によっては水性が適さないケースもあります。さらに、今は水性塗料そのものも品薄傾向なので、「水性なら確実に手配できます」と言い切る業者には、その根拠を確認したほうが安心です。
切り替え提案を受けたら、「なぜ水性で問題ないのか」「銘柄は確保できているのか」を業者に説明してもらいましょう。納得いく説明ができる業者は、信頼できる業者です。
🤔 よくある質問Q&A
最後に、お客様からよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 塗料不足はいつ復旧しますか?
正直、業界の誰にも分かりません。中東情勢が落ち着き、ナフサ供給が安定するまでは続く見込みです。「○月には戻ります」と断言する業者は、信用しすぎないほうが安心です。
Q2. 値上げが続くなら今契約すべき?
これは正直、答えが難しい質問です。今後も値上げが続く可能性は高いので、「早く契約しておく」のも一つの選択肢ではあります。
ただし、注意点があります。今契約しても、塗料がいつ入ってくるか分からない以上、足場が1ヶ月、あるいはそれ以上立ったままになる可能性があるんです。「足場が長期間立ったままでも構わない」という方であれば、今動くメリットもあります。一方で、「足場が長く立っているのは気になる」という方は、無理に契約を急がないほうが安心です。
ご自身の状況と、足場期間への許容度を踏まえて判断してください。
Q3. 既に契約済みの工事はどうなりますか?
業者によります。着工時期が見えなくなっているケースも多いので、契約済みの方は業者に現状確認をおすすめします。「使う塗料は確保できているか」「着工目安はいつか」、この2点だけでも聞いておきましょう。
Q4. ホームセンター塗料での工事は絶対NG?
はっきりとおすすめしません。応急的な部分補修ならまだしも、家全体の塗装を業務用以外で施工するのはリスクが大きすぎるというのが、現役営業としての本音です。
📎 訪問営業や悪質業者の見分け方は、こちらの記事で紹介しています。
訪問営業の塗装は危険?現役営業が本音で解説
✅ まとめ|”焦らず、見極めて、納得してから”

長くなりましたので、最後にこの記事の要点を整理します。
- 2026年塗料不足は世界情勢に直結した構造的な問題。いつ復旧するか業界の誰にも分からない
- 油性だけでなく水性塗料も品薄が進行中。シーリング材も含め、現場全体に影響が広がっている
- 現場では「納期未定」が日常になっている。値上げ通知も連日続いている
- 「待つ」と「動く」、どちらにもリスクがある難しい局面
- ホームセンター塗料で代用する業者には注意。塗料の銘柄は契約前に必ず確認を
- 緊急性がなければ、焦らず・見極めて・納得してから契約を
この状況、業者にとってもお客様にとっても、本当に難しい時期です。だからこそ、冷静に情報を集め、信頼できる業者と納得のいく形で進めていただきたい——これが現役営業としてのお願いです。
ご自宅の塗装をご検討の方は、慌てず、この記事を一つの判断材料としていただければ嬉しいです。
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