【特別編】高圧洗浄を省いたら5年で剥がれた 近隣トラブルにまで発展した話

外壁塗装の見積書を見た時に「高圧洗浄」って書いてある1行に目が止まる方は少ないです。塗料のグレードとか色とか金額とか工期とか、気になるところは他にたくさんあるので、洗浄って言われてもなんとなく「ついでにやる作業」みたいな印象がありますよね。

ただ、ここをはっきりお伝えしておくと、高圧洗浄は塗装が長持ちするかどうかを決める最初の分かれ道です。ここを軽く扱う業者に当たってしまうとどんなに高い塗料を使っても数年で剥がれることがあって、実際に5年で「広い範囲で剥がれてきた」とご相談をいただいて現場調査に伺ったお宅もありました。

この記事では、高圧洗浄が何のためにやる工程なのか、省かれた時に何が起きるのか、「ちゃんとやる業者」を見抜くポイントをお伝えしていきます。

高圧洗浄は何のためにやるのか

高圧洗浄は外壁や屋根の汚れを落とす作業でもあるんですが、本当の目的はそこだけじゃなくて、新しい塗料がきちんと密着できる状態を下地につくるための工程です。

外壁の表面は、目に見えない汚れ・コケ・チョーキングで粉っぽくなった古い塗膜が何年もかけて積み重なっていて、その上にそのまま塗料を塗ると塗料は「外壁本体」じゃなく「汚れの層」の上に乗ることになります。こうなるとどれだけ高い塗料を使っても、剥がれる前提のスタートです。

要するに高圧洗浄は掃除じゃなくて下地づくりで、塗装が持つかどうかの土台になっている工程です。

高圧洗浄ありとなしで何が変わる?

項目ちゃんと高圧洗浄をやった家省略・手抜きで終わらせた家
塗料の密着外壁本体にしっかり密着汚れの層の上に乗っているだけ
数年後の状態色あせ程度で済むことが多い広範囲で剥がれ始めることも
10年後次の塗り替え時期まで持つすでに再塗装が必要なことも
保証対応正常な経年劣化として扱える原因が複雑で揉めやすい

高圧洗浄を省くと起きる3つのこと

① 数年で塗膜が剥がれる

一番多い問題です。施工から数年で塗膜が広い範囲で浮いたりめくれたりしてきます。本来の塗料の寿命とは関係なく密着不良が原因で起きる剥がれで、「高い塗料を使ったのにまだ何年も経っていないのに剥がれた」というご相談の多くは塗料ではなく下地に原因があります。

② 部分補修だけの応急処置

剥がれが出ると施工した業者が「剥がれたところだけ塗り直します」と言って来るケースがあるのですが、原因が下地にある以上、上から塗っても同じことの繰り返しです。色合わせも合っていないことが多くて家がまだら模様のようになってしまうこともあります。

③ 飛散による近隣トラブル

剥がれた塗膜は、進行すると風で簡単に飛びます。隣の敷地、車、洗濯物に落ちて近隣トラブルになった例も実際にあります。

以前「屋根の塗装が剥がれてきた」とご相談をいただいて現場調査に伺ったお宅がありました。他社で施工してからまだ5年ほどしか経っていない屋根で、上に上がってみると塗膜は広い範囲でめくれていて風が吹けば簡単に飛んでいきそうな状態でした。実際に近隣に塗膜片が飛んでトラブルになったこともあったそうです。一度手直しに来てもらった形跡もあったのですが剥がれたところだけ違う色で塗り直してあって根本は何も解決されていませんでした。話を聞くとその工事は足場を組まずに進められていて高圧洗浄もほとんど形だけだったとのことで、塗膜の剥がれ方を見ると塗料ではなく土台のところからうまくいっていなかったのがはっきり分かる現場でした。

プロが洗浄時にチェックしている3つのこと

①どこまで汚れが落ちているか

水で表面を流すだけでなく、コケ・カビ・古い塗膜の粉っぽい層まできちんと落とせているかを見ます。洗浄直後の外壁の色味・質感をチェックするのが基本で、ここが甘いと後工程に全部響きます。

②水圧と当て方

強ければいいというものではなくて、屋根材や外壁材ごとに適切な圧力があります。強すぎると逆に塗膜や下地を傷めるので、職人さんがノズルとの距離を意識しながらムラなく当てているかどうか。ここに技術が出ます。

③乾燥時間をきちんと取っているか

洗浄後の乾燥時間も重要で、湿った下地に塗料を乗せても密着しません。最低でも丸1日、季節や日当たりによってはそれ以上の乾燥時間を確保する必要があります。

以前お客様から「相見積もりを取ったA社が工期がやけに短い」とご相談を受けたことがありました。日程を見せていただくと洗浄した日にはもう下塗りが始まる予定になっていて、「乾燥時間がほとんど取られていないのでその点だけ確認してみてください」とお伝えしました。後日A社に質問したところ回答が曖昧で、結局そこは契約を見送られました。

「ちゃんとやる業者」の見分け方

足場と一緒に話してくれるか

高圧洗浄は足場・飛散防止ネットとセットで初めて成立する工程で、足場の話を軽くする業者ほど洗浄もセットで軽い傾向があります。逆に足場の必要性をしっかり説明してくれる業者は洗浄も丁寧にやっています。

「何のために必要か」を説明してくれるか

「もちろんやります」だけで終わる業者と「下塗りがちゃんと密着するために必要なんですよ」と理由まで話してくれる業者では、現場での扱いがまったく違います。

工程表で洗浄と下塗りの間に乾燥日が入っているか

見積書の工程表で「洗浄→当日下塗り」が当たり前のようになっていたら要注意です。ここに1日以上の乾燥日が入っているかどうかだけ確認してみてください。

「高圧洗浄=ただの水洗い」のウソ

業界の中にはいまだに高圧洗浄を「ついでにやる水洗い」のように扱う感覚が残っていて、「サービスでやっておきますね」とか「軽く流すだけです」とか言う業者がいます。

ここまでお伝えしてきた通り、高圧洗浄は塗装の耐候性そのものを決める工程で掃除ではありません。「何のためにやるか」を自分の言葉で説明できる業者は現場でも丁寧にやってくれますし、足場・洗浄・乾燥・下塗りの流れをひとつながりの工程として話せるかどうかを見てください。

高圧洗浄は「掃除」ではなく塗料の密着を支える下地づくりの工程で、省かれると数年後の早期剥がれ・部分補修の繰り返し・近隣トラブルに繋がります。

業者を見る時は足場・洗浄の説明・乾燥時間の3点をセットで確認してください。見積もりの安さや塗料の銘柄よりも「この業者は見えない工程をどう扱っているか」、ここが数年後の家の状態を左右します。

📖 次の記事はこちら

👉 塗装の助成金・補助金はいくらもらえる?

工程をしっかり守る会社で塗装すると、どうしても気になるのが費用面です。次の記事では、塗装工事で使える助成金や補助金がいくらもらえるのか、申請の流れも含めて現場目線でまとめます。

コメント