【特別編】契約した塗料が届かない2026年|”代用品”を信じていいのか現場の本音

「すいません、塗料を変えさせてください」

——今、私たち塗装営業が、毎日のようにお客様に頭を下げている言葉です。
本当に大変な状況になってきました…。

少し前に、「【特別編|現役営業が解説】塗料が入ってこない2026年|納期未定の現状と”危ない業者”の見分け方」を公開させていただきました。
正直、ここまで多くの方に読んでいただけるとは思っておらず、関心の高さと、事態の大きさを改めて感じています。

そして今、現場はさらに新しいフェーズに入りました。

第1弾でお伝えした「塗料が入ってこない」という段階は、第1フェーズでした。
今、現場で本当に起きているのは——

“契約した塗料が届かない”
“代用品への切り替え提案”
“別メーカーの組み合わせ施工”

という、第2フェーズです。

この記事では、現役の塗装営業として日々お客様と向き合っている立場から、

  • 今、現場で本当に起きていること
  • 「代用品」を信じていいのかという、お客様も私たちも抱える同じ不安
  • 別メーカーの組み合わせ施工で、確認しておくべきポイント
  • 私たちが自社で始めた、独自の相性チェックの取り組み

を、できる限り正直にお伝えします。

「営業マンを信じたい。でも、本当に大丈夫なのかも心配」
そう感じている方こそ、最後までお付き合いください。

🌍 2026年、塗料不足は“第2フェーズ”に入った

第1弾で詳しくお伝えしたとおり、2026年2月末からの中東情勢悪化を発端に、ナフサ輸入が滞り、塗料用シンナーが枯渇しました。

そこから現場は、こう動きました。

【第1フェーズ】(2026年3月頃〜)

  • シンナーが手に入らない
  • 油性塗料の希釈ができず、現場が止まる
  • 「いつ入りますか」とメーカーに問い合わせるが、答えは「未定」

【第2フェーズ】(2026年4月〜現在)

  • メーカーが“代用品(同等品)への切り替え”を案内し始める
  • 下塗り材(その他塗料)の供給停止が拡大
  • 上塗りと下塗りで、メーカーをまたぐ組み合わせ提案が増える
  • 業者側も、変更の説明と頭下げの毎日

第1フェーズが「そもそも塗料がない」だったのに対し、
第2フェーズは「契約した塗料が、届かないまま代わりのものに変わっていく」フェーズです。

塗装不足の全体像と、第1フェーズの詳しい解説については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
👉 塗料が入ってこない2026年|納期未定の現状と”危ない業者”の見分け方

📊 メーカー4社の値上げと供給状況【最新一覧表】

2026年に入ってから、主要塗料メーカーの値上げと供給制限はさらに進んでいます。
現場で把握している範囲で、整理するとこうなります。

メーカー2026年 値上げ率供給状況
日本ペイントシンナー類 約75% 値上げ一部商品で供給停止・代用品案内
エスケー化研80% 値上げ弱溶剤系で供給制限
関西ペイント50%超 値上げ一部商品で出荷遅延
大信ペイント60〜70% 値上げ油性系で出荷制限

経済産業大臣の閣議後会見でも、塗料・シンナーの供給不安が言及される事態となり、業界全体の問題として表面化しています。

ただ、現場で本当に困っているのは、値上げそのものよりも、

「契約時に約束した塗料が、手に入らない」

という、シンプルだけど避けようのない問題です。

🔄 今、困っているのは「下塗り材」です

ここからが、第2フェーズの本題です。

実は今、現場で一番困っているのは上塗り塗料ではなく、下塗り材です。

特に深刻なのが、金属屋根専用の下塗り材

日本の戸建て住宅は、金属屋根(ガルバリウム鋼板やトタン屋根)の比率が非常に高い国です。
古いお家のトタン屋根、新しいお家のガルバリウム屋根。
どちらも塗装には金属屋根専用の下塗り(錆止め系・密着系)が必須です。

ところが、その専用下塗り材が、

  • メーカーから「出荷停止」「納期未定
  • 一部商品は「販売中止
  • 同等品が出ていても、ロットによって入る・入らないが日替わり

という状況になっています。

下塗り材は、塗装工事の最初の工程です。
ここが入らないと、そもそも工事がスタートできません。

そして、ここで起きているのが、

「上塗りはA社のものを契約した。でも、下塗りはA社のものが入らない。だからB社の下塗りで施工させてください」

という、メーカーをまたぐ組み合わせ提案です。

これが、今の現場の現実です。

私の店舗で、つい最近あった話です。 契約のときにしっかりとご説明をして、ご納得いただいて発注した塗料一式。屋根が金属屋根だったので、当然、専用の下塗りも一緒に発注しました。 工事開始の、たしか1週間前くらいだったと思います。仕入れ先から電話があり、 「すいません、その下塗りもう入りません」 ……いや…………もう…… お客様は、私を信じて契約してくださった方です。仕様書も交わしてあります。それを「変えさせてください」と言いに行くのは、本当にきつかったです。 でも、嘘ついて進めるわけにはいかないですよね。 その日のうちにお客様のお宅に伺って、玄関先で頭を下げました。 「すいません、契約時にお約束した下塗り材がメーカーから入ってこなくなってしまいまして。同じメーカーの代用品で対応させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」と。 幸い、このお客様のケースは、同じメーカーの代用品で対応できて、性能も相性も問題ない範囲で乗り切れました。本当にほっとしました。 ただ、これから先は、こうはいかないケースも出てくると思います。 「上塗りはA社、下塗りはB社」みたいに、別メーカーの組み合わせをお願いする場面は、これからどんどん増えていきます。間違いなく。 そのときに、ちゃんと正直に「変えさせてください」って言いに来る業者なのか。黙って勝手に変えてしまう業者なのか。 ——ここが、これからの業者選びで一番大事なところになってくる気がしています。

⚠️ 上塗りと下塗り、メーカーが違っても大丈夫?

ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。

メーカーが違う下塗りと上塗りを組み合わせるとき、よく言われるのは、

メーカー側で相性チェックはしています

という説明です。

これは事実です。
今、塗料メーカー各社は、自社の代用品と他社の上塗り・下塗りについて、ある程度の相性確認を行ったうえで案内しています。

ただ、ここで正直にお話しすると——

「本当に大丈夫なのか」

という気持ちは、お客様だけでなく、営業の私自身も同じです

これは、お客様を不安にさせたいわけではありません。むしろ逆です。
お客様と同じ目線で、同じ気持ちで、現場を見ている人間がいるということを、知っていただきたいのです。

メーカーが相性チェックをしているとはいっても、

  • 実際の施工現場では、気温・湿度・下地の状態が一軒一軒違う
  • メーカーのテストはあくまで標準条件下のもの
  • 別メーカー同士の組み合わせは、長期実績がまだ少ないものもある

こうした不確定要素は、どうしても残ります。

だからこそ、お客様には知っておいていただきたいんです。

「メーカーが大丈夫と言ってるから大丈夫です」
ではなく、
「メーカーがチェックしている。でも、現場で起こることは別の話。だから、私たちも自分の目で見て確かめていきます」
——そう言ってくれる業者を選んでください。

🛡️ 私たちが“自社で相性チェック”を始めた理由

メーカー側のチェックを信じる、というだけでは、私たちも安心して現場に出せません。
そこで私の店舗では、自社独自の相性チェックを始めました。

具体的には、こんなことをしています。

  • 提案候補となる別メーカーの下塗り材を、実際の下地サンプル(金属板・モルタル板・サイディング板など)に塗布する
  • その上に、契約予定の上塗り塗料を重ねて塗る
  • 一定時間放置し、
    • 密着しているか(剥がれてこないか、テープテストでめくれないか)
    • 乾燥が正常か(ベタつき・縮み・しわが出ないか)
    • 表面の状態(ツヤ・ムラ・色味の変化はないか)
    を確認する
  • 問題があれば、別の代用品に切り替えて再テスト

メーカーが言う「相性問題なし」を鵜呑みにせず、自分たちの目で見て、塗ってみて、確かめる
このひと手間を加えるだけで、現場での判断材料がまったく変わります。

正直、これは手間もコストもかかります。
ただ、お客様のお家を10年・20年守るのは、私たち施工側です。
だからこそ、自分の目で確かめずに「大丈夫です」と言うのは、責任ある仕事ではない——そう考えて始めました。

これは、業界全体としてはまだまだ少ない取り組みだと思います。
ただ、これからの時代は、「メーカーが大丈夫と言ってるから大丈夫」では済まない時代に入ったと感じています。

🎨 水性塗料への切り替え提案、何に注意すべきか

第1弾の時点では「水性も需要急増で品薄になっている」とお伝えしました。
現在は、状況がさらに動いています。

油性が手に入らない → 水性塗料への切り替え提案が増える

水性塗料も需要集中で品薄状態

水性塗料の中でも、普段はあまり使わないグレードの提案が増えてくる

この流れの中で、お客様が注意したいのは次の点です。

  • 「水性に変更します」と言われたとき、変更前と変更後の塗料グレードが同等かを確認する
  • 「水性は油性より弱い」というのは昔の話で、今は同等以上の水性塗料も多い
  • ただし、安価な水性に置き換えられるパターンには注意が必要
  • 変更後の塗料銘柄を、書面で残してもらうこと

「同じ性能の水性塗料に変更します」という説明だけで終わらせず、メーカー名・商品名・耐候年数の目安まで確認しておくと安心です。

見積書の塗料銘柄の確認方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
👉 外壁塗装・屋根塗装の見積もりで絶対チェックすべき5つのポイント

🛡️ 読者が今できる“3つの自衛策”

最後に、これから外壁塗装・屋根塗装を検討する方が、今この時期にできる自衛策を3つお伝えします。

1. 契約書・見積書に「塗料が変更になる場合の取り決め」を入れてもらう

  • 変更が発生したときに、書面で説明を受ける
  • 同等以上のグレードであることを書面で残す
  • 変更後の塗料銘柄が記載される

これが入っているだけで、勝手に変えられるリスクはぐっと減ります。

2. 業者の説明姿勢を見る

  • 「メーカーが大丈夫と言ってます」だけで終わる業者か
  • 「自分たちでも確認します」と言ってくれる業者か

ここに、業者の本気度が出ます。

3. 急がせる業者ほど警戒する

これは第1弾でもお伝えしたことですが、この時期だからこそ重要度が増しています。

「今のうちに契約しないと値上げで損ですよ」
「在庫があるうちに決めましょう」

——こういうトークが増えています。
本当に誠実な業者ほど、今は「焦らずに、状況をご説明してから決めましょう」という姿勢を取ります。

📝 まとめ|信じたい気持ちと、確認したい気持ち、両方を大切に

塗料業界は今まで経験したことのない状況に入っています。

  • 第1フェーズ:塗料が入ってこない
  • 第2フェーズ:契約した塗料が届かず、代用品への切り替えが日常化

この変化の中で、営業マン側も、お客様と同じくらい「本当に大丈夫なのか」という気持ちを抱えています。

だからこそ、今お伝えしたいのは——

「営業マンを信じたい」気持ちと「本当に大丈夫なのか確認したい」気持ち、その両方を大切にしてください

ということです。

信じすぎず、疑いすぎず。
“一緒に確認していきましょう”と言ってくれる業者を選んでください。

メーカーの相性チェックは、もちろん大切です。
でも、それで終わりにせず、自分たちでも確かめる業者こそ、これからの時代に頼れるパートナーです。

外壁塗装は、10年・20年と続くお家を守る大事な工事です。
こんな時代だからこそ、正直な業者と、納得できるやり取りで進めていきましょう

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