
塗装で失敗しないためには、複数社から見積もりを取って比較することが大切です。
しかし、ただ見積もりを取るだけでは不十分です。 見積もりが提出されたときに、この質問に答えられなければ要注意というポイントがあります。
この記事では、私が現場で経験してきた実例も交えて、最低限チェックすべき5つのポイントをわかりやすく解説します。
この質問をして答えられなければ要注意
見積もりの説明では、多くの場合まず塗料の説明があります。
例えば:
- 「この塗料はシリコン塗料で15〜20年持ちます」
- 「こちらはフッ素塗料で20〜25年ほど持ちます」
この説明を受けたとき、ぜひ次の質問をしてみてください。
「この塗料は、うちの家だと実際どのくらい持ちますか?」
ここで大切なのは、カタログの耐候年数ではないということです。 確かに塗料のカタログには「15年〜20年」などの目安が書かれていますが、実際には家の条件によって塗料の持ちは大きく変わります。
例えば:
- 日当たりが強い南面
- 北面でコケやカビが発生しやすい場所
- 外壁の素材(サイディング・モルタルなど)
- 周囲の環境(湿気や風通し)
こうした条件によって、同じ塗料でも実際の耐候年数は変わるのです。
私はお客様に見積もりをご説明する際、家の状態や立地条件を確認したうえで、「この塗料なら、実際にはこのくらい持つと思います」という現実的な目安をお伝えするようにしています。 カタログに書かれた数字をそのまま説明するだけでは、本当の意味でお客様のニーズに合った提案とは言えません。
カタログの数字だけでなく、「この家ではどうなのか」を説明してくれる業者かどうか。 それが、信頼できる業者を見極めるひとつのポイントです。
見積もりに書かれている工事内容を確認

見積もりを見るときは、まず工事内容がどこまで具体的に書かれているかを確認することが大切です。
例えば、足場工事ひとつでも、ただ「足場一式」と書かれているだけでは内容がわかりません。 本来であれば、足場、メッシュシート、昇降階段など、何が含まれているのかが具体的に書かれているのが理想です。
さらに塗装工事では、使用する塗料の量も重要なポイントになります。 塗料は1平方メートルあたりに塗る量がメーカーによって決まっています(基準塗布量)。
そのため、本来は建物の塗装面積から必要な塗料の量が計算できるはずです。 例えば:
- 今回は○○平方メートルなので、下塗りはこの塗料を○缶使用
- 中塗りはこの塗料を○缶使用
- 上塗りはこの塗料を○缶使用
材料費がしっかり計算されている見積もりが理想です。 そのうえで、材料費と施工費が分けて記載されているかも確認してみてください。
また、「下地処理費一式」と書かれている場合も注意が必要です。 下地処理といっても内容はさまざまで、例えば:
- クラック補修(ひび割れ補修)
- ケレン作業(古い塗膜やサビを落とす作業)
- コーキング補修
そのため、見積もりを見るときは、下地処理では具体的に何をするのか、そしてそれがどこの場所の作業なのか、この2つを業者に確認してみることをおすすめします。
見積もりの内容が具体的であればあるほど、工事の透明性も高くなります。 逆に「一式」が多い見積もりは、後から追加費用が発生する可能性もあるため注意が必要です。
工事期間と施工スケジュールを確認する
塗装の見積もりでは、工事期間や細かい施工スケジュールが書かれていることはほとんどありません。 多くの場合は、契約後にお客様と相談しながら工事の日程を決めていきます。
ただし、ここでひとつ確認しておくと良いポイントがあります。 それは、「もし契約した場合、どのようなスケジュールで工事が進むのか」を事前に聞いてみることです。
塗装の工事は一般的に以下の流れで進んでいきます:
- 足場設置
- 高圧洗浄
- 下地処理
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
- 足場解体
そして塗装工事では、塗料ごとに乾燥時間などの施工基準が決められています。 この基準をきちんと守ると、工事が極端に早く終わるということは基本的にありません。
そのため、契約するかどうかに関わらず、「もし契約した場合、工事はどのくらいの期間になりますか?」と聞いてみることをおすすめします。
しっかりとした業者であれば、工事の流れやおおよその期間を説明してくれるはずです。 逆に、あまりにも短すぎる期間を提示される場合は、施工工程を省いてしまう可能性もあるため注意が必要です。
このように、工事の流れや期間を確認することも、業者を見極めるひとつのポイントになります。
保証内容の確認
塗装では、保証内容の確認もとても大切なポイントです。
まず前提として、今回の塗装工事にはどのような保証がつくのかを確認しておきましょう。 保証には大きく分けて、塗料の製品保証と工事保証があります。 製品保証なのか工事保証なのかによって、保証の内容は大きく変わります。
工事保証の場合は、まず何年の保証がつくのかを確認することが大切です。 そしてもう一つ重要なのは、保証の対象となる内容です。
実際に、保証があると思って相談してみたら
「この症状は保証の対象ではありません」と言われてしまうケースもあります。 例えば私のお客様でも、外壁のシーリングというゴムの部分が剥がれてきた際に
「それは保証内容に含まれていないため、補修には費用がかかります」と言われてしまった事例があります。
このようなトラブルを防ぐためにも、どこまでが保証の対象なのか、どんな症状が保証の対象外になるのか、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
また、保証は基本的に施工した会社が出す工事保証であることが多く、長いところでは25年保証といった内容を提示している会社もあります。 しかしここで大事なのは、保証を出している会社が将来的に存在しているかどうかです。 もし施工した会社が閉店してしまった場合、保証を受けることができなくなる可能性もあります。 実際に私のところにも、そういったケースで相談に来られるお客様が少なくありません。
そのため最近では、施工会社の保証とは別に、塗料メーカーも保証を出す「ダブル工事保証」という仕組みを用意している会社もあります。 施工会社とメーカーの両方が保証をしてくれるため、万が一のことを考えると、より安心できる保証の形と言えるでしょう。
総額だけで判断しない
見積もりを見ると、どうしても一番気になるのは「総額」だと思います。
しかし塗装では、安いから良いとは限りません。安すぎる見積もりには必ず理由があります。
例えば、前の記事でもお伝えしたように、極端に安い見積もりの場合、外注の職人さんに安い金額で工事を依頼しているケースがあります。 その場合、職人さんは「どれだけ早く終わらせるか」で利益が変わるため、乾燥時間を守らなかったり、塗料の仕様通りの工程を省くといった問題が起きることがあります。
また、人数をたくさん集めて短期間で終わらせる方法もあります。 もちろん、基準を守りながら人数を増やせば工事が早く終わるというメリットもあります。しかし現実には、同じ技術レベルの職人が何人も揃うことはなかなかありません。 そのため、「この部分はきれいに仕上がっているのに、別の部分は仕上がりが悪い」といった品質のばらつきが起きるケースも実際にあります。
さらに重要なのが、その会社が自社の職人で施工するのか、それとも外注なのかという点です。 外注が悪いわけではありませんが、誰が施工するのかが分からないまま契約するのは少し不安が残ります。
例えば私の会社では、毎朝職人と打ち合わせを行い、一級塗装技能士などの資格を持つ自社職人が基本的に一人または二人で一つの現場を責任を持って完成させます。 会社によっては、実際に施工する職人の紹介パンフレットを用意しているところもあります。
塗装の見積もりは、単純な金額比較ではなく、「なぜその価格なのか」を確認することがとても大切です。 安い見積もりには安い理由がありますし、逆に少し高い場合にも、その価格になる理由が必ずあります。 総額だけで判断せず、使用する塗料や施工工程、そして誰が施工するのかといった内容までしっかり確認することが、後悔しない塗装工事につながります。
では実際に、失敗しないためには何社から見積もりを取るべきなのでしょうか?
その具体的なポイントは、次回の記事で詳しく解説しています👇
塗装の相見積もりは何社必要?
まとめ
塗装の見積もりは、金額だけを見るのではなく「内容」をしっかり確認することがとても大切です。
今回ご紹介したように、塗料の種類、塗装面積の表記、保証内容、施工方法など、見積もりの中には工事の品質を判断するための重要な情報が多く含まれています。 これらを確認することで、手抜き工事や施工後のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
また、見積もりの段階では工事スケジュールが細かく出ていないことも多いですが、もし契約した場合にどのような流れで工事が進むのか、どのくらいの期間がかかるのかを事前に確認することで、信頼できる業者かどうかを見極める判断材料にもなります。
塗装は、多くの方にとって20年に一度あるかないかの大きな工事です。 だからこそ、価格だけで判断せず、見積もりの内容や施工体制、保証内容までしっかり確認したうえで業者を選ぶことがとても重要です。
私自身も日々お客様と商談をさせていただく中で、「少し高いね」と言われることがあります。 そんな時は、「自分が会社の魅力や工事の内容をうまく伝えきれていなかったのかもしれない」と反省することもあります。
この記事が、塗装を検討されている方にとって、後悔しない業者選びの参考になれば嬉しいです。
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