
塗装の色選びは、とても悩むけれどもワクワクするものです。面白いことに、「ご自身の家を塗装する」となった瞬間から、今まで気にしていなかった他の家の色を意識して見るようになる方がとても多いです。
ただ、塗料の種類や工事の流れは比較的正解がはっきりしている一方で、色だけは足場を外したその瞬間まで、誰にも100%の答えが出せません。
この記事では、色選びでよくある失敗と、後悔しにくい色の決め方やポイントをお伝えしていきます。
色選びでまず知っておきたい「面積効果」のこと
塗装の打ち合わせで一番盛り上がるのは色決めの時間です。トラブルが頻繁に起きるわけではないのですが、万が一色で失敗してしまうと、非常に大きな問題になります。10年、20年と持つもので、決して安い買い物ではありませんし、色が気に入らなかったからといって、すぐに塗り直すというのは現実的に難しいです。
なので、色決めのポイントはしっかり押さえておいていただきたいと思っています。
その中でまず知っておいていただきたいのが「面積効果」という現象です。小さな見本で見た色より、家1軒分の大きさで塗ると、明るい色はもっと明るく、鮮やかな色はもっと鮮やかに見える、という性質のことです。
カタログの色見本は、たいてい2cm角くらいの小さなチップです。そのチップで「ちょうどいいベージュだな」と思って決めると、足場が外れた瞬間に「思ってたより白い」となりやすいです。
色選びの落とし穴の8割は、この面積効果だと思っています。
色選びを失敗しないための「鉄則」
ここからは、現場でお客様にお伝えしている内容を、そのまま整理します。
鉄則①:色は「外」で、「太陽光の下」で決める
室内の蛍光灯と外の太陽光は、まったく違う光です。室内で「いい色だな」と思った色も、外に出すと印象がかなり変わってしまいます。
「明るすぎる」「思っていた色じゃない」という声の半分くらいは、家の中で色を決めてしまっていることが原因かもしれません。
鉄則②:A4サイズ以上の「塗り板」で確認する
カタログのチップで決めるのではなく、実際にその塗料を板に塗ったサンプル(塗り板)を使ってください。
サイズはA4以上が理想です。いつもこの板をお客様のお宅の外壁に当てながら見ていただいています。これをやるかやらないかで、仕上がりの満足度はかなり変わります。
同じ色でも、艶有りと3分艶有りで印象がかなり変わるので、そこも合わせて確認していただくことをおすすめします。

もうひとつお伝えしておきたいのが、塗料そのもののグレード(シリコン・フッ素・無機)でも、色の出方や艶の残り方が少しずつ変わってくるという点です。
グレード選びについては、こちらの記事で整理しています。
👉 塗料のグレードはどう選ぶ?シリコン・フッ素・無機の違いを現場目線で整理
鉄則③:「朝・昼・夕方」の3つの時間帯で見る
色は、光の角度と強さで見え方が変わります。
- 朝の光:少し青っぽく、引き締まって見える
- 昼の光:一番明るく、色そのものの印象に近い
- 夕方の光:オレンジっぽく、温かみが乗る
塗り板を一度玄関先に置いておいて、一日のうち何度か見比べていただくのがおすすめです。「夕方になるとイメージが違う」というのは、よくある気づきの一つです。
鉄則④:サッシ・屋根・外構の色まで含めて見る
意外と見落とされやすいのですが、塗装で塗れない部分の色がとても大事です。
- 窓のサッシ(シルバー・黒・ブロンズなど)
- 屋根(黒・濃いグレー・茶系など)
- 玄関ドア
- 雨樋
外壁だけで色を決めると、合わなくて「なんとなく安っぽく見える」ということが起きてしまいます。カラーシミュレーションで、サッシや屋根の色まで含めて確認するのが安心です。
外壁の素材(モルタル・サイディング)によっても色の見え方は変わってきます。素材別の違いは、こちらの記事に整理しています。
👉 モルタル外壁とサイディング外壁、塗装の違い|費用とひび割れリスクを比較
色選びでよくある「3つの失敗パターン」
商談や現場で「これ、本当に多いな」と思う失敗を、3つ取り上げます。
失敗1:小さな色見本だけで決めてしまう
カタログの2cm角チップで「ちょうどいい」と思った色は、家一軒で見るとほぼ間違いなく明るく・鮮やかに出ます。
「思ったより派手」「思ったより白い」の正体は、ほぼこれです。
失敗2:蛍光灯の下で色を決めてしまう
打ち合わせはどうしても室内になりがちですが、室内の光で見た色をそのまま信じるのは危険です。
打ち合わせの最後に、必ずもう一度、外の光で見直してください。
失敗3:サッシや屋根との相性を考えずに決める
外壁だけ素敵な色でも、サッシが古びたシルバーだったり、屋根とのバランスが悪かったりすると、全体としてしっくり来ません。
色は一面だけでなく、家全体のバランスで決めるのが大事です。
「本当はもうちょっと濃い方が良かったのかな」
色選びについては、たくさんの経験があります。
少し前までは、お客様の頭の中にあるイメージと、カタログの色見本だけを頼りに色を決めていました。お客様も「これでいきます」と笑顔で言ってくださるし、こちらも「いい色になりますよ」とお伝えして、無事にカラーが決定します。
いよいよ足場が外れる日になり、「ありがとう、きれいになったね」と喜んでくださいました。
ただ、少し違和感を感じてしまうことがありました。お客様が心から喜んでいるのか、なんだか自信が持てない場面でした。
「思っていたより、ちょっと薄かったかもなー。」
口にはされないけど、本当はもうちょっと濃い色のほうが良かったのかなと感じました。お客様、無理して喜んでくださっているんじゃないかなと。
外壁の色は、小さい見本と、家全部に塗ったときでかなり印象が変わります。
特に明るい色は、思ったより薄く見えることがあります。
それからは、色の見え方がもっとはっきりわかるようにお伝えしなきゃと思いました。
カラーシミュレーションを取り入れるようになった話
お客様のイメージと実際の仕上がりのズレを、なんとかゼロに近づけたいと思い、カラーシミュレーションを取り入れるようになりました。
最初はツールがあるわけでもなく、お客様のお家を撮影した写真を自分で編集して色を入れていく作業から始めました。
- お客様のお家の写真を撮らせていただく
- 外壁の部分だけを切り抜く
- そこに、候補の色を実際に乗せて見せる
- サッシ・屋根・玄関ドアまで含めて、家全体でどう見えるかを再現する
最初はかなり手間でしたが、これを商談で出した瞬間のお客様の反応が、それまでとは明らかに変わりました。
「あ、これだとちょっと派手かも」 「思ったよりこっちの方が落ち着いて見えるね」 「主人にも見せたいから、画像で送ってもらえる?」
頭の中だけで決めていた時には出てこなかった会話が、自然に生まれるようになりました。
今はソフトの精度も上がって、お客様のお家の写真にそのまま色を乗せたシミュレーションをお見せできるようになっています。塗り板で「色そのもの」を確認していただき、シミュレーションで「家全体としてのバランス」を確認していただく。この2つをセットでやるようになってから、足場を外した日に「思ったのと違う」と言われることはなくなりました。
色選びは、お客様にとっては一生に一度か二度の選択です。これから10年〜15年、毎日見続けるものだと思うと、塗り板1枚、シミュレーション1枚にかける手間を惜しんではいけないと思っています。
色選びと並んで商談でよく聞かれるのが「いつ塗装するのがいいか」という時期の話です。時期選びについては、こちらの記事で整理しています。
👉 塗装はいつやるのがベスト?商談で一番多い「時期選び」の質問に答えます

色選びは、塗装の中でも一番楽しい時間だと思います。ただ、やり直しが効かないという意味では、一番慎重になるべき部分でもあります。
- カタログの小さな見本だけでは決めない(面積効果に注意)
- 色は外の太陽光で、A4以上の塗り板で確認する
- 朝・昼・夕方の3つの時間帯で見る
- サッシ・屋根・外構との全体バランスを見る
- 塗り板+カラーシミュレーションをセットで用意してくれる業者を選ぶ
色は、住んでいる方がこれから10年〜15年、毎日見続けるものです。「決め急がない」「ひとりで決めない」「外で見る」、この3つだけでも後悔の確率はかなり下がると思います。


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