
「シリコンとフッ素、結局どっちがいいんですか?」
商談の現場で、本当によく聞かれる質問です。
ただ、私はこの質問にあえて即答しないようにしています。
なぜ言うと、シリコンで20年問題なく持っているお宅もあれば、フッ素を選んだのに数年で塗膜が割れてしまったお宅もあって——塗料って本当に「家との相性」で結果が変わるんです。
「最強の塗料を選べば安心」と言われがちなんですが、現場を見ていると、必ずしもそうじゃないなと感じます。むしろ「お客様のこれからの暮らし方」を一緒に考えて選んだほうが、満足度が高いことが多いんです。
この記事では、シリコンとフッ素の違いと、「あなたの家に合うのはどっちか」を見つけるためのヒントを、現場で見てきたリアルな話を交えてお伝えします。
手元に見積もりがある方は、ぜひ一緒に見ながら読んでみてください。
🎯 結論|「最強の塗料」ではなく「自分に合う塗料」を選ぶ
先に結論をお伝えします。
シリコンとフッ素、性能だけで比べたらフッ素のほうが上です。これは間違いありません。
ただ、これまで何百件と現場を見てきて、「フッ素のほうが結果的に良かった」と言い切れないケースを何度も経験してきました。
なぜかと言うと、塗料は「家との相性」と「これからのライフプラン」で、ベストな答えが変わってくるからなんです。
たとえば、築15年のサイディング住宅でこれから20年住むご家族と、築25年のモルタル外壁でお子さんも独立されたご夫婦——同じ「外壁塗装」でも、選ぶべき塗料は変わってきます。
価格だけ、耐候年数だけで決めてしまうと、後から「あれ?こんなはずじゃなかった」となることが意外と多いんです。
ここから先で、それぞれの塗料の特徴と、現場で見えてきたリアルを順にお伝えします。
📖 シリコン塗料の特徴|現役営業が現場で感じるリアル

シリコン塗料は、いま塗装業界でいちばん多く使われている塗料です。日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研——主要メーカーがどこも、シリコン塗料を主力商品として出しています。
「迷ったらシリコン」と言われるのは、価格と耐候性のバランスが本当に絶妙だからなんです。安すぎる塗料は耐候性が不安ですが、シリコンクラスならコストを抑えながら15〜20年は安心して住めます。
ただ、ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。
同じ「シリコン塗料」と書かれていても、性能はピンキリです。
見積書に「シリコン塗料」とだけ書かれていたら、必ずメーカー名と商品名まで確認してください。安いシリコンの中には、肝心のシリコン成分がほとんど入っていないものもあるんです。現場では結構見ます。
最近のシリコン塗料は技術がかなり進化していて、こういう付加機能がついた商品も増えてきました。
・超低汚染タイプ:雨で汚れが流れ落ちる
・ラジカル制御型:紫外線による色あせを抑える
・遮熱タイプ:金属の天敵の熱を反射させる(夏場の室温上昇を抑える効果も多少)
商談では、お客様の家の立地条件——日当たり、湿気の溜まり方、交通量——を見ながら、どの機能のシリコンを提案するか決めています。「ただのシリコン」と「機能付きシリコン」は、住んでからの満足度が変わってきます。
📖 フッ素塗料の特徴|「最強」と言われる本当の理由

フッ素塗料は、住宅塗装の中では最上位クラスにあたります。耐候年数の目安は20〜25年、商品によっては30年近く持つものもあります。
「最強」と呼ばれる理由はシンプルで、フッ素樹脂が化学的に非常に安定しているからなんです。紫外線にも、雨風にも、汚れにも強い。航空機の塗装や東京スカイツリーの外装にも使われていると聞けば、その強さがなんとなく伝わると思います。
シリコンとの違いを現場感で言うと、こんな感じです。
- 耐候年数が5〜10年長い
- 光沢の持続性が違う(新築のようなツヤが長く保てる)
- 汚れが定着しにくい(雨が降るたびに表面の汚れが流れ落ちる)
費用は同じ30坪でシリコンより20〜30万円高くなることが多いです。ただ、塗り替えは足場代だけで20万円近くかかります。10年後にまた塗り替えるシリコンと、20年保つフッ素を比べると、生涯コストではフッ素のほうが安く済むことも多いです。
ここまで読むと「じゃあフッ素一択じゃないか」と思われるかもしれません。
ただ、フッ素には知っておいてほしい弱点もあるんです。次の章で正直にお伝えします。
💰 価格差と耐候年数の本当のところ
ここで、価格と耐候年数を「生涯コスト」で見てみます。
30坪の家を例にした、30年スパンの試算です。
| 項目 | シリコン塗料 | フッ素塗料 |
|---|---|---|
| 1回目の工事費 | 約100万円 | 約130万円 |
| 塗り替え回数(30年) | 2〜3回 | 1〜2回 |
| 30年間の総コスト | 約200〜300万円 | 約130〜260万円 |
数字だけ見ると、フッ素が圧倒的に有利に見えます。
ただ、ここに「ライフプラン」を重ねてみてほしいんです。
たとえば、いま60歳の方が今回シリコン(耐候15年)を選んだ場合、次の塗装は75歳のときになります。「もう一度足場を組んで工事に立ち会うのは正直しんどい」というお声、現場でよくいただきます。こういう方には、私はフッ素を強くおすすめします。
逆に、30代でこれから子育てもあって支出の見通しが立たない方には、無理にフッ素を選ばずに、シリコンで様子を見て、10年後の家計に合わせて次を決めるほうが現実的だと感じています。
塗料は「10年単位の買い物」ではなく、「これからの暮らし方の選択」——そう思って選ぶと、後悔は少なくなります。
💬 現場のリアル|「最高級塗料」より大切なこと

最後に、私が実際に担当した、あるご高齢のお客様の話をお伝えします。
そのお客様は、複数の業者から相見積もりを取られていました。私が伺った時にはすでに、前の2社からはフッ素塗料と無機塗料しか提案されていなくて、ご本人の中でも「やっぱりフッ素か無機がいいんだろうな」という認識になっていました。
外壁の状態を見せていただいて、確かに無機塗料なら30年近く持ちます。性能だけで見れば最強の選択です。
ただ、お話を伺っていくうちに、私の中で気になるところがありました。
お客様のご年齢とこの家にこれから何年住まれるのか——そこから逆算すると、30年保つ塗料はオーバースペックな気がするな・・・
お伝えするかどうか迷いました。「もっと安いシリコンで十分です」なんて、営業として失礼な話にも聞こえちゃうかもしれません。それに、せっかく無機塗料で話が進んでいたものを引き下げる提案です。
ですが、しっかりとお伝えしました。
「お客様のこれからの暮らし方を考えると、無機塗料は性能としてはオーバーになります。シリコンクラスでも、機能付きの良いものを選べば、これからの生活には十分です」
そうお話ししたとき、「そんな話をしてくれた業者は、今までいなかった」とお客様がすごくびっくりしてくださいました。
最終的にシリコンでご契約いただいて、工事は無事に終わりました。その時に改めて思ったのは、塗料は性能だけで選ぶものじゃないということ。
塗料の性能と、お客様のこれからの家との付き合い方——その両方を見て、初めて「本当に合った塗料」が決まります。
⚠️ 塗料選びでよくある3つの失敗
最後に、シリコンとフッ素の選択でよく起きる3つの失敗をお伝えします。
失敗①|「シリコン」とだけ書かれた見積もりで契約してしまう
同じ「シリコン塗料」でも、性能はピンキリです。「シリコン塗料一式」としか書かれていない見積もりは、安物のシリコンを使われている可能性があります。
対策: 必ず「メーカー名・商品名・グレード」を確認してください。その場でカタログを見せてもらいましょう。
失敗②|相性を見ずにフッ素を選んでしまう
「最強だから」という理由だけでフッ素を選ぶと、家との相性で塗膜割れが起きることがあります。特にモルタル外壁・クラックの多い外壁では注意が必要です。
対策: 弾性タイプのフッ素を選ぶか、家との相性について納得のいく説明をしてもらいましょう。
失敗③|次回の塗り替えを考えずにフッ素を選んでしまう
意外と知られていないのですが、フッ素は表面が滑らかすぎて、次回の塗り替えで塗料が密着しにくい特性があります。
対策: 完工時に「今回フッ素を塗りました」と書類で残しておきましょう。次回の業者が適切な下塗り材(プライマー)を選べます。
✅ まとめ|あなたに合う塗料はこっち

シリコン塗料とフッ素塗料の違い、伝わったでしょうか。
最後にもう一度、選び方のポイントを整理しますね。
シリコン塗料がおすすめの方
- これから10〜15年の家計を優先したい
- 機能付きシリコン(低汚染・ラジカル制御)で十分と感じる
- 次回の塗装も視野に入れて柔軟に考えたい
フッ素塗料がおすすめの方
- 60代以上で「これが最後の塗装」と考えている
- 足場が大きく組まれる家で、塗り替え回数を減らしたい
- 美観の持続を大事にしたい
迷ったら、無理に高い塗料を選ぶ必要はありません。家の状態とライフプランに合った塗料を、信頼できる業者と相談しながら決めるということが、結局いちばん後悔しない選び方だと思います。
見積書を見ていて「これで合ってるのかな」と不安なところがある方は、お問い合わせフォームから気軽にご相談ください。現役営業の目線で、一緒にチェックさせていただきます。


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