
とても人気のあるシリコン塗料とフッ素塗料ですが、「結局どっちがいいの?」と悩まれる方はとても多いです。
実際、お客様との打ち合わせでもかなりよく聞かれる内容です。
もちろん予算の違いもあるので、その辺りも大事なんですが、個人的には「どちらが優れているか」だけで選ぶのは少し違うと思っています。
今のお家の状態に合っているか。
これから先、どれくらい長く住む予定なのか。
次のメンテナンスをどう考えるか。
そういう部分のほうが塗料選びでは大事だったりします。
この記事では、シリコン塗料とフッ素塗料の違いを比較しながら、「自分の家にはどちらが合うのか」を分かりやすくお伝えしていきます。
結論|「最強の塗料」ではなく「自分に合う塗料」を選ぶ
シリコンとフッ素、性能だけで比べたらフッ素のほうが上です。これは間違いありません。
ただ、塗料は「家との相性」と「これからのライフプラン」で、ベストな答えが変わってきます。
たとえば、築15年のサイディング住宅でこれから20年住むご家族と、築25年のモルタル外壁でお子さんも独立されたご夫婦。同じ外壁塗装でも、選ぶべき塗料は変わってきます。
価格だけ、耐候年数だけで決めてしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」となることが意外と多いです。
シリコン塗料の特徴

シリコン塗料は、いま塗装業界で最も多く使われている塗料です。日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研といった主要メーカーがどこも、シリコン塗料を主力商品として出しています。
「迷ったらシリコン」と言われるのは、価格と耐候性のバランスがとても良いからです。安すぎる塗料は耐候性が不安ですが、シリコンクラスならコストを抑えながら15〜20年は安心して住めます。
ただ、ひとつ気をつけていただきたいことがあります。
同じ「シリコン塗料」と書かれていても、性能はピンキリです。
見積書に「シリコン塗料」とだけ書かれていたら、必ずメーカー名と商品名まで確認してください。安いシリコンの中には、シリコン成分がほとんど入っていないものもあります。
最近のシリコン塗料は技術がかなり進化していて、付加機能がついた商品も増えてきました。
- 超低汚染タイプ:雨で汚れが流れ落ちる
- ラジカル制御型:紫外線による色あせを抑える
- 遮熱タイプ:熱を反射させる(夏場の室温上昇を抑える効果も多少あります)
私も商談では、お客様のお家の立地条件(日当たり、湿気の溜まり方、交通量)を見ながら、どの機能のシリコンをご提案するか決めています。「ただのシリコン」と「機能付きシリコン」では、住んでからの満足度が変わってきます。
フッ素塗料の特徴
フッ素塗料は、住宅塗装の中では最上位クラスにあたります。耐候年数の目安は20〜25年、商品によっては30年近く持つものもあります。
フッ素樹脂が化学的にとても安定しているため、紫外線にも、雨風にも、汚れにも強いです。航空機の塗装や東京スカイツリーの外装にも使われていると聞けば、その強さが伝わるかと思います。
シリコンとの違いをまとめると、こんな感じです。
- 耐候年数が5〜10年長い
- 光沢の持続性が違う(新築のようなツヤが長く保てる)
- 汚れが定着しにくい(雨が降るたびに表面の汚れが流れ落ちる)
費用は同じ30坪でシリコンより20〜30万円高くなることが多いです。ただ、塗り替えには足場代だけで20万円近くかかります。10年後にまた塗り替えるシリコンと、20年保つフッ素を比べると、生涯コストではフッ素のほうが安く済むことも多いです。
ただ、フッ素にも知っておいていただきたい弱点はあります。
価格差と耐候年数の本当のところ
ここで、価格と耐候年数を「生涯コスト」で見てみます。
30坪のお家を例にした、30年スパンの試算です。
| 項目 | シリコン塗料 | フッ素塗料 |
|---|---|---|
| 1回目の工事費 | 約100万円 | 約130万円 |
| 塗り替え回数(30年) | 2〜3回 | 1〜2回 |
| 30年間の総コスト | 約200〜300万円 | 約130〜260万円 |
数字だけ見ると、フッ素が有利に見えます。
ただ、ここに「ライフプラン」を重ねて考えていただきたいです。
たとえば60歳の方がシリコン塗料を選んだ場合、次の塗装は75歳のタイミングになります。「もう一度足場を組んで工事に立ち会うのは大変だ」というお声は多いです。こういう方には、私はフッ素をおすすめしています。
逆に、30代でこれから子育てもあって支出の見通しが立たない方には、無理にフッ素を選ばずに、シリコンで様子を見て、10年後の家計に合わせて次を決めるほうが現実的だと思います。
塗料は「10年単位の買い物」ではなく、「これからの暮らし方の選択」です。そう思って選んでいただけると後悔は少なくなります。
現場の話|「最高級塗料」より大切なこと

実際に私が担当したお客様のお話をします。
そのお客様は複数の業者から相見積もりを取っていました。私が伺った際には、すでに2社からの説明も終わっていて、フッ素塗料か無機塗料、この2つがいいですよ、というふうに強く業者の方におすすめされていたようです。なのでお客様も、もうその2択なのかな、というようなイメージになっていました。
実際に診断してみて、確かに無機塗料も悪くないし、無機塗料を塗ったら30年近く持つだろうな、というお家ではあったんですけど、お客様とたくさんお話をしているうちに、お客様のご年齢がご高齢だったっていうのもありますし、このお家にあとどれぐらい住まれるのかっていうのを一緒に考えてお話を進めていたんですが、やっぱり30年持つ塗料っていうのは少しオーバースペックじゃないかな、というお話になりました。
自分たちの代でこのお家は住む人はいなくなるし、引き継ぐ人もいないというお話を聞かせていただいて、それを聞いた上で、じゃあ10年以上持つようなシリコン塗料でも、もしかしたら十分かもしれないですね、というお話をさせていただきました。
そんなお話をしてくれた業者はいなかったと、すごく喜んでくださいました。
なので、塗料は性能だけで選ぶものではないということ。塗料の性能と、お客様のこれからの家との付き合い方。その両方を見て、初めて「本当に合った塗料」が決まると思っています。
安心して暮らせる年数分の塗装をしましょう。
塗料選びでよくある3つの失敗
最後に、シリコンとフッ素の選択でよく起きる3つの失敗をお伝えします。
失敗①|「シリコン」とだけ書かれた見積もりで契約してしまう
同じ「シリコン塗料」でも、性能はピンキリです。「シリコン塗料一式」としか書かれていない見積もりは、安物のシリコンを使われている可能性があります。
必ず「メーカー名・商品名・グレード」を確認してください。その場でカタログを見せてもらうのが一番です。
失敗②|相性を見ずにフッ素を選んでしまう
「最強だから」という理由だけでフッ素を選ぶと、家との相性で塗膜割れが起きることがあります。特にモルタル外壁やクラックの多い外壁では注意が必要です。
弾性タイプのフッ素を選ぶか、家との相性について納得のいく説明をしてもらってください。
失敗③|次回の塗り替えを考えずにフッ素を選んでしまう
意外と知られていないのですが、フッ素は表面が滑らかすぎて、次回の塗り替えで塗料が密着しにくい特性があります。
完工時に「今回フッ素を塗りました」と書類で残しておいてください。次回の業者が適切な下塗り材を選べるようになります。

シリコン塗料とフッ素塗料の違い、伝わったでしょうか。
最後にもう一度、選び方のポイントを整理します。
シリコン塗料がおすすめの方
- これから10〜15年の家計を優先したい
- 機能付きシリコン(低汚染・ラジカル制御)で十分と感じる
- 次回の塗装も視野に入れて柔軟に考えたい
フッ素塗料がおすすめの方
- 60代以上で「これが最後の塗装」と考えている
- 足場が大きく組まれる家で、塗り替え回数を減らしたい
- 美観の持続を大事にしたい
迷ったら、無理に高い塗料を選ぶ必要はありません。家の状態とライフプランに合った塗料を、信頼できる業者と相談しながら決めるのが、一番後悔しない選び方だと思います。


コメント