
「シリコン、フッ素、無機…結局どれを選べばいいの?」
商談の場でお客様から本当によくいただく質問です。それぞれ価格も耐候年数も違うし、業者の説明を聞いても「結局、どっちがいいのか分からない」と感じる方が多いんですよね。
先に結論をお伝えすると、「とにかく一番グレードの高い塗料を選べばいい」というわけではありません。塗料には種類によって特徴があり、家の状態やライフプランによってベストな選び方が変わります。
この記事では、現役の塗装営業として数百件の現場を見てきた立場から、主要な3グレード(シリコン・フッ素・無機)の違いと、本当に大事な塗料の選び方を、現場の本音で解説します。
⚠️ まずはここから|塗料グレード3種 早見表
詳しい解説に入る前に、主要な3グレードの特徴を一覧にまとめました。全体像を先に掴んでおくと、この後の話がぐっと頭に入りやすくなります。
| グレード | 耐用年数 | コスト感 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 🟡 シリコン | 約15〜20年 | ★★★☆☆ | 現在の主流/コスパ最高 | 最高峰ではない |
| 🔵 フッ素 | 約20〜25年 | ★★★★☆ | 紫外線に強く長持ち | 価格がやや高い |
| 🟣 無機 | 約25〜30年以上 | ★★★★★ | 圧倒的な長寿命 | 塗膜が硬く、塗膜割れリスク |
📖 塗料の種類とグレードとは?
塗料の種類とは、簡単に言うと「塗料の性能や耐候性のランク」のことです。
塗装工事ではこの塗料選びによって、工事後どれくらい長持ちするかが大きく変わるため、とても重要なポイントになります。一般的に使われるのは、シリコン・フッ素・無機の3種類が主流で、それぞれ価格・耐候年数・特性が違います。
🔧 3つの主要グレードを徹底比較

🟡 シリコン塗料(現在の主流)
耐候年数は約15〜20年。現在、塗装で最も多く使われているのがシリコン塗料です。
理由はシンプルで、耐候性と価格のバランスが一番良いから。安すぎる塗料は耐久性が心配ですが、シリコンクラスならコストを抑えながら、十分に長持ちする塗装ができます。「迷ったらシリコン」と覚えておけば、大きく外すことはありません。
🔵 フッ素塗料(高耐候の定番)
耐候年数は約20〜25年。シリコンより一段階上のグレードで、紫外線に強く劣化しにくいのが最大の特徴です。
「次に塗り替えるのは20年以上先でいい」「塗り替え回数を減らしたい」という方には特におすすめ。ビルや商業施設でも採用される実績のある塗料です。
シリコンとフッ素のどっちがいいか迷う方は、こちらの記事で詳しく比較しています。
👉 シリコン塗料とフッ素塗料の違いとは?
🟣 無機塗料(最上級グレード)
耐候年数は約25〜30年以上。塗料の中でも最高峰で、無機成分を含み、非常に劣化しにくく長期間美観を維持できます。
ただし、無機塗料には注意すべき特性もあります。これについては後ほど詳しく説明しますね。
💰 塗料選びで一番大事なのは「ライフコスト」

塗料を選ぶとき、多くの方は「今回の工事の金額」だけで判断してしまいがちです。ですが、実はそれだけで決めるのはちょっともったいないんです。
1回の工事費用ではなく”トータル”で考える
私が商談のときによくお話しするのが「ライフコスト」という考え方です。これは、1回の工事費ではなく、これから何年住むのか、その間に何回塗り替えるのかというトータルで塗料を考える視点です。
例えば、安いシリコンで2回塗り替えるよりも、1回で長く持つ無機塗料を選んだ方が、結果的にトータルコストが安くなるケースもあるのです。
年齢・ライフプランから逆算する
塗料選びは、これから何年この家で暮らすのかというライフプランと一緒に考えることがとても大切です。
「今の家にあと何年住むつもりか」「次の塗り替えのタイミングで、自分は何歳になっているか」——こうした視点を持つだけで、選ぶべき塗料が見えてきます。
例えば・・・:60歳の方が15年塗料を選ぶと…
例えば、お客様が現在60歳だったとします。耐候年数が15年程度の塗料を選んだ場合、次に塗装するタイミングは75歳になります。
もちろん75歳でも塗装することは可能ですが、「その年齢でもう一度塗装工事をするのか」と考える方も多いです。そのため、私は場合によってはフッ素塗料や無機塗料などの耐候性の高い塗料をご提案することがあります。
30年近く耐候性がある塗料を選べば、今回の塗装が「最後の塗装」になる可能性もあるからです。
⚠️ 要注意!高い塗料が必ずしも正解じゃない理由

「じゃあ、とにかく一番高い無機塗料を選べばいいんですね!」と思った方、ちょっと待ってください。
実は、無機塗料には特有のリスクがあるのです。
無機塗料の「塗膜割れ」リスク

無機塗料は非常に耐候性が高い反面、塗膜が硬いという特徴があります。これが問題になるケースがあるのが、サイディングやALCなどの外壁で使われている「シーリング」というゴム状の部分です。
シーリングと塗膜の関係
家は目に見えなくても、温度変化や揺れなどでわずかに動いています。シーリングはその動きに合わせて伸び縮みする役割があります。
ところが、塗膜が硬い塗料の場合、その動きに塗料が追従できず、シーリングの上の塗料が割れてしまう「塗膜割れ」が起きることがあります。
もちろん必ず起きるわけではありませんが、こういった特性があることは知っておくことが大切です。
建物の状態に合った塗料を選ぶ重要性
塗料にはそれぞれ特徴があり、「とにかく長持ちする塗料が一番いい」というわけではありません。
建物の状態、外壁材、シーリングの状況、そしてお客様のライフプラン——これらを総合的に判断して塗料を選ぶことが、本当の意味での”良い塗装”につながります。
🎯 塗料以上に大事な「施工の質」

ここまで塗料の話をしてきましたが、実は塗装工事にはもう一つ重要な要素があります。それが「施工の質」です。
基準塗布量を守らないと意味がない
塗料にはそれぞれメーカーが定めている「基準塗布量」があります。これは「1平方メートルあたり何キログラム塗るか」という数値で、塗料が本来の性能を発揮するために絶対に守るべき基準です。
規定よりも塗料の量が少なかったりすると、どんなに高性能な塗料を使っても本来の耐久性は発揮されません。
乾燥時間を守らないと耐久性が落ちる
塗料には乾燥時間も決められています。乾燥時間を守らずに次の工程に進んでしまうと、塗膜の密着が弱くなり、数年で剥がれてくる原因になります。
下地処理が不十分だったり、ひび割れ補修が適当だったりする場合も、塗装の寿命は大きく短くなります。
塗料3:施工7、と私は思う
私が商談でよくお伝えするのは、「塗装の仕上がりは、塗料3割・施工7割で決まる」という感覚です。
どんなに高級な無機塗料を使っても、施工が雑なら長持ちしません。逆に、シリコンクラスでもしっかり施工すれば、カタログ年数以上にもつこともあります。
だからこそ、塗料選び以上に「どんな業者に頼むか」が決定的に重要なのです。施工の質を見抜くポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 外壁塗装・屋根塗装の見積もりで絶対チェックすべき5つのポイント
💬 塗料選びでよくある3つの失敗
最後に、塗料選びでよくある3つの失敗パターンをご紹介します。
失敗①:営業にすすめられるまま選ぶ
「これがおすすめです!」と言われて、深く考えずに契約してしまうパターン。営業マンは利益率の高い塗料をすすめがちなので、必ず「なぜそれを選ぶべきなのか」の根拠を確認しましょう。
失敗②:塗料の名前だけで判断する
同じ「シリコン塗料」でも、メーカーやグレードによって性能はピンキリです。塗料名だけでなく、メーカー名・製品名・グレードまで確認することが大切です。
失敗③:「高い=絶対安心」と思い込む
これが特に多い失敗です。確かに高い塗料は性能が高いですが、建物に合わない塗料を選ぶと「塗膜割れ」などのリスクがあります。また、施工が雑なら高い塗料の意味がなくなります。
「高すぎる」「安すぎる」どちらも要注意。詳しくはこちらでも解説しています。
👉 塗装の見積もりが安すぎる理由とは?
✅ まとめ|塗料は”値段”ではなく”暮らし”で選ぶ

塗料選びで後悔しないために、この記事の要点をおさらいします。
✅ 主要3グレードの特徴
- シリコン塗料:耐候年数15〜20年。現在の主流で、コスパ最高
- フッ素塗料:耐候年数20〜25年。長持ちと価格のバランス◎
- 無機塗料:耐候年数25〜30年以上。最高峰だが塗膜割れリスクあり
🎯 塗料選びで大事な3つの視点
- ライフコスト:1回の工事費ではなく20〜30年のトータルで考える
- 建物の状態:シーリングや外壁材との相性を確認する
- 施工の質:塗料の性能は、施工が正しくないと発揮されない
⚠️ よくある3つの失敗
- 営業にすすめられるまま高い塗料を選ぶ
- 塗料の名前だけで判断する
- 「高い=絶対安心」と思い込む
塗料選びは、「これからこの家でどんな暮らしをするか」から逆算するのが、一番後悔しない方法です。
例えば「あと一度だけ塗装したい」という方には無機塗料が合うかもしれませんし、「コスパ重視で頻繁に塗り替えたい」という方にはシリコンが合います。正解は人それぞれです。
この記事が、あなたの家とライフプランに本当に合った塗料選びの参考になれば嬉しいです。


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