「20年持つ」と言われた塗装が10年で剥がれる理由|手抜きの正体

「20年持つ塗料って言われたのに、10年も経たずに剥がれてきた」

塗装業界にいると、こういう相談はよく耳にします。せっかく高いお金を払って塗装したのに、思っていたより持たなかった——これは読者さんからすると、かなりショックな話だと思います。

先に結論からお伝えすると、塗装が10年持たない一番の原因は、塗料の性能ではありません。「施工の手抜き」です。

今の塗料はかなり優秀です。シリコン以上のグレードであれば、ちゃんと正しく塗れば10年以上持つように設計されています。でも、現場では「乾燥時間を守らない」「塗料を規定以上に薄める」「下地処理を適当に済ませる」といった、目に見えない手抜きが今でも普通に起きています。

この記事では、現役の塗装営業として現場で実際に見てきた手抜きパターンと、10年以上持たせるために本当に大事なポイントを、本音でお伝えしていきます。これから塗装を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

⚠️ まずはここから|10年持たない家の早見表

先に全体像をつかみたい方のために、10年持たない家に共通するポイントを早見表でまとめました。

項目よくある原因危ないサイン確認ポイント
下地処理洗浄・補修が雑「一式」で済まされるどこをどう直すか説明できるか
乾燥時間工期短縮で乾燥不足極端に短い工期各工程の乾燥時間を聞く
塗布量塗料を薄めて使う缶数を答えない使用予定の缶数を確認する
施工管理現場任せで報告なし写真や報告書がない缶数や工程の写真を出せるか

🚨 結論|塗装が10年持たない原因は塗料じゃない

結論はかなりシンプルです。塗装が10年持たない最大の原因は、塗料の性能不足ではなく「施工プロセスの省略」です。

今の塗料は本当に優秀です。シリコン塗料以上のグレードなら、メーカーの規定通りに塗れば10年以上持つように作られています。フッ素や無機まで上げれば、本来は20年以上持っても不思議ではありません。

それなのに、現場では「7年でベリベリに剥がれた」「5年で色あせがひどい」という家が普通に出てきます。なぜかと言うと、塗装の寿命は「塗る前の準備」と「塗り方のルール遵守」で8割決まるからです。塗料そのものよりも、扱う側の問題で寿命が決まっているんです。

🛑 塗装が10年持たない3つの失敗パターン

失敗①|下地処理を適当に済ませる

塗装で寿命を一番大きく左右するのが、実は塗る前の下地処理です。錆落とし、ひび割れ補修、シーリングの打ち替え、高圧洗浄。このあたりはどれも地味で、時間もかかります。

でも、ここを適当にすると、どれだけ高い塗料を使っても土台から剥がれます。新しい塗膜が密着する場所を作っているのが下地処理なので、ここを省くと家自体への密着が弱くなります。

確認のポイントとして、見積書に「下地処理」が項目として書かれているか、具体的に何をするのかを質問できると安心です。「ひび割れは何箇所くらい補修しますか」「サビはどこを落としますか」と聞いて、その場で答えられる業者のを選びましょう。

失敗②|雨が降った翌日にすぐ塗る

これも現場で本当によく見ます。塗装は乾燥状態がかなり重要で、壁が湿ったまま塗ると密着不良を起こします。

工期を急ぐ業者だと、表面が乾いただけで作業を再開してしまうケースがあります。中までしっかり乾いていない状態で塗ると、後から塗膜が押し上げられて、膨れや剥がれの原因になります。

乾燥時間は塗装の品質を守るための、いちばん基本のルールです。「雨が降った後はどれくらい時間を置きますか」と聞いて、「半日は空けます」と即答できる業者は、現場をしっかり管理している可能性が高いです。

失敗③|塗料を規定以上に薄める

これは一番怖い手抜きかもしれません。塗料には水やシンナーで薄める希釈率がメーカーで決まっています。これを規定以上に薄めると、塗りやすくなって作業は早くなります。でも、塗膜が薄くなってしまい、耐候性は半分以下になることもあります。

怖いのは、塗ってしまえば見た目は普通にきれいなところです。膜厚が足りていなくても、仕上がりだけ見ればプロでも分かりません。気付くのは、数年経って色あせや剥がれが出てきた時です。

以前、塗装から約7年で塗装がベリベリに剥がれたお宅を調査したことがあります。原因は、下塗りの乾燥不足でした。前の業者は工期を短縮するために、下塗りが乾ききる前に中塗りを重ねていたんです。結局、そのお客様は10年経たずにもう一度高い費用を払って再塗装することになりました。「安さ」や「早さ」だけを求めた時の悲しい結末です。

🔍 10年以上持たせるために本当に大切なこと

乾燥時間を守ること

塗装は「乾かしてから次に進む」を繰り返して、はじめて強い塗膜になります。下塗りが乾く前に中塗り、中塗りが乾く前に上塗り——これをやってしまうと、見た目はきれいでも、内部はかなりもろい状態です。

メーカーが指定する乾燥時間を守るだけでも、塗装の寿命はかなり変わります。逆に言うと、ここを守れない業者の家は、何年か経ってから必ず差が出ます。

規定の塗布量(缶数)を守ること

塗料はメーカーが「1㎡あたりこれくらい使ってください」という基準塗布量を決めています。家の面積が分かれば、必要な缶数はだいたい計算できます。

これを守らずに、2缶で塗るべき面積を1缶で済ませてしまうと、塗膜が薄くなって耐候性が落ちます。「缶数」と「塗布量」は、塗装が10年持つかどうかを左右する核の部分です。

「塗ってしまえば見えなくなる」が一番怖い

塗装の怖いところは、塗ってしまうとほとんどの手抜きが見えなくなることです。下地処理を省いても、乾燥時間を端折っても、塗料を薄めても、表面は普通にきれいに仕上がります。

だからこそ、契約前に工程・缶数・補修内容まで聞いておくことがかなり大事です。質問できる読者さんほど、後悔しにくくなります。

✅ 缶数報告|現役営業として絶対やっていること

👈使用前塗料                  👉使用済塗料 

実際に私が提出している写真を加工したものです。(少しわかりにくくてすみません。)

ここは業者選びをする時にかなり効くポイントです。読者さんにこそ知っておいてほしいので、現場の話をそのまま書きます。

私は現場管理をする際、必ず「使用した塗料缶の数」を写真に撮り(もちろん使用前の缶も)、お客様に報告します。それは、規定量をしっかり使い切ったという証拠であり、10年以上持たせるための大切な条件だからです。これを嫌がる業者は、どこかで手を抜いている可能性が高いと言わざるを得ません。 塗料の缶数は、施工がちゃんとしているかどうかを判断できる、ほぼ唯一の客観的な証拠です。口で「規定量塗りました」と言われても、それを確認する手段はありません。でも、缶数を写真で残しておけば、塗布量を守ったかどうかは後からでもはっきり分かります。 逆に、「そんなの必要ないですよ」と濁す業者には、少し注意した方がいいです。缶数の記録を出せない業者は、塗料を薄めて利益を出している可能性が残ってしまうからです。

🏠 まとめ|10年以上持たせるために覚えておきたいこと

最後に要点をまとめます。

  • 塗装が10年持たない原因は、塗料ではなく施工の手抜き
  • 下地処理、乾燥時間、塗布量を守れない業者は、数年で剥がれるリスクが高い
  • 表面はきれいに仕上がるので、手抜きは外から見えない
  • 缶数の写真や工程の報告を出せる業者は、品質管理を本気でやっている証拠
  • 口約束ではなく「証拠」を出してくれる業者を選ぶことが、長持ちの条件

塗装は決して安い買い物ではありません。せっかくお金をかけるなら、ちゃんと10年以上持つ工事をしてもらいたいですよね。そのためには、塗料のグレードよりも先に、工事のルールをきちんと守る業者を選ぶことがいちばん大事です。

2〜3社の見積もりを取って、缶数や乾燥時間まで説明できる業者を見つけてみてください。それだけでも、10年後の家の状態はかなり変わってくるはずです。

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