「20年持つ」と言われた塗装が10年で剥がれる理由 手抜きの正体

今は塗料の性能が大幅に進化していて、長いものだと30年持つという塗料も出てきています。こういう塗料が登場してくるのは嬉しいことなのですが、実際にその年数持つかどうかが一番大事ですよね。

「20年持つって言われたのに、10年も経たずに剥がれてきた」、こういうご相談はお問い合わせの中でもかなり多い内容です。お客様からすると高いお金を払って塗装したのに全然持たなかったというのは、本当に悲しい話だと思います。

先にお伝えしておくと、塗装が10年持たない原因は塗料の性能ではなくて、施工の手抜きが大きく影響しています。
悲しい事に今も現場では、

・乾燥時間を守らない
・塗料を規定以上に薄める
・下地処理を適当に済ませる

こういった目に見えない手抜きが普通に起きています。

この記事では、実際にあった手抜きのパターンと10年以上持たせるために本当に大事なポイントをお伝えしていきます。

10年持たない家の早見表

項目よくある原因危ないサイン確認ポイント
下地処理洗浄・補修が雑「一式」で済まされるどこをどう直すか説明できるか
乾燥時間工期短縮で乾燥不足極端に短い工期各工程の乾燥時間を聞く
塗布量塗料を薄めて使う缶数を答えない使用予定の缶数を確認する
施工管理現場任せで報告なし写真や報告書がない缶数や工程の写真を出せるか

塗装が10年持たない原因は塗料じゃない

結論はシンプルで、塗装が10年持たない最大の原因は塗料の性能不足ではなく「施工の中で守るべきルールが省かれている」ことです。

今の塗料は本当に優秀で、シリコン塗料以上のグレードならメーカーの規定通りに塗れば10年以上持つように作られていますし、フッ素や無機まで上げれば本来20年以上持ってもおかしくありません。

それなのに現場では「7年でベリベリに剥がれた」「5年で色あせがひどい」という家が普通に出てきます。塗装の寿命は「塗る前の準備」と「塗り方のルール遵守」で8割決まるので、塗料そのものよりも扱う側の問題で寿命が変わっているんです。

塗装が10年持たない3つの失敗パターン

失敗①|下地処理を適当に済ませる

塗装で寿命を一番大きく左右するのが塗る前の下地処理で、サビ落とし、ひび割れ補修、シーリングの打ち替え、高圧洗浄、どれも地味で時間がかかります。

ただ、ここを適当にするとどれだけ高い塗料を使っても土台から剥がれます。新しい塗膜が密着する場所を作っているのが下地処理なので、ここを省くと家自体への密着が弱くなるんです。

私が以前引き継いだ現場で、前の業者が「下地補修済み」としていた外壁を剥がしてみたら、ひび割れの上にそのままシーリングを薄く乗せてあるだけで奥までちゃんと充填されていなかったことがありました。見た目は埋まっているように見えるのですが中身がスカスカで、そこから水が入って2年で浮きが出てきた状態でした。

確認のポイントとしては、見積書に「下地処理」が項目として書かれているか、具体的に何をするのかを質問できると安心です。「ひび割れは何箇所くらい補修しますか」「サビはどこを落としますか」と聞いてその場で答えられる業者を選んでください。

失敗②|雨が降った翌日にすぐ塗る

塗装は乾燥状態がかなり重要で、壁が湿ったまま塗ると密着不良を起こします。

工期を急ぐ業者だと表面が乾いただけで作業を再開してしまうケースがあって、中までしっかり乾いていない状態で塗ると後から塗膜が押し上げられて膨れや剥がれの原因になります。

私の会社では雨が降った後は最低でも半日以上は置くようにしていて、北面や日当たりの悪い部分に関してはもう少し長めに乾燥時間を取ります。「雨の後はどれくらい時間を置きますか」と聞いて即答できる業者は、現場管理がしっかりしている可能性が高いです。

雨が降った後は最低でも半日以上は置くようにしましょう。北面や日当たりの悪い部分に関してはもう少し長めに乾燥時間を取ります。「雨の後はどれくらい時間を置きますか」と聞いてみましょう。

失敗③|塗料を規定以上に薄める

これは一番怖い手抜きかもしれません。

塗料には水やシンナーで薄める希釈率がメーカーで決まっていて、これを規定以上に薄めると塗りやすくなって作業は早くなりますが塗膜が薄くなってしまい、耐候性は半分以下になることもあります。

怖いのは、塗ってしまえば見た目は普通にきれいなところです。膜厚が足りていなくてもプロでも仕上がりだけ見ては分かりません。気付くのは数年経って色あせや剥がれが出てきた時です。

以前、塗装から約7年で塗膜がベリベリに剥がれたお宅を調査したことがあります。原因は下塗りの乾燥不足で、前の業者は工期を短縮するために下塗りが乾ききる前に中塗りを重ねていました。結局そのお客様は10年経たずにもう一度高い費用を払って再塗装することになりました。

10年以上持たせるために本当に大切なこと

乾燥時間を守ること

塗装は「乾かしてから次に進む」を繰り返してはじめて強い塗膜になります。下塗りが乾く前に中塗り、中塗りが乾く前に上塗り、これをやってしまうと見た目はきれいでも内部はかなりもろい状態です。

メーカーが指定する乾燥時間を守るだけでも塗装の寿命はかなり変わりますし、逆に言うとここを守れない業者の現場は何年か経ってから必ず差が出ます。

規定の塗布量(缶数)を守ること

塗料はメーカーが「1㎡あたりこれくらい使ってください」という基準塗布量を決めていて、家の面積が分かれば必要な缶数はだいたい計算できます。

これを守らずに2缶で塗るべき面積を1缶で済ませてしまうと塗膜が薄くなって耐候性が落ちます。
「缶数」と「塗布量」は塗装が10年持つかどうかを左右する核の部分です。

「塗ってしまえば見えなくなる」が一番怖い

塗装の怖いところは塗ってしまうとほとんどの手抜きが見えなくなることで、下地処理を省いても乾燥時間を端折っても塗料を薄めても表面は普通にきれいに仕上がります。

だからこそ契約前に工程・缶数・補修内容まで聞いておくことがかなり大事で、質問できる方ほど後悔しにくくなります。

缶数報告|私が現場管理で絶対やっていること

👈使用前塗料                  👉使用済塗料 

実際に私が提出している写真を加工したものです。(少しわかりにくくてすみません。)

ここは業者選びをする時にかなり効くポイントなので、現場の話をそのまま書きます。

私は現場管理をする際、必ず「使用した塗料缶の数」を写真に撮って(もちろん使用前の缶も)お客様に報告しています。規定量をしっかり使い切ったという証拠であり、10年以上持たせるための大切な条件だからです。 実際にやっているのは、工事前に新品の缶を並べて撮影し、工事後に空缶を並べて撮影する、という単純なことです。ただこれだけで「何缶使ったか」が一目で分かりますし、お客様にとっては「ちゃんと規定量を塗ってくれた」という安心材料になります。 塗料の缶数は施工がちゃんとしているかどうかを判断できる、唯一の客観的な証拠です。 口で「規定量塗りました」と言われてもそれを確認する手段はないのですが、缶数を写真で残しておけば塗布量を守ったかどうかは後からでもはっきり分かります。

塗装が10年持たない原因は塗料ではなく施工の手抜きで、下地処理、乾燥時間、塗布量を守れない業者は数年で剥がれるリスクが高いです。

表面はきれいに仕上がるので手抜きは外から見えません。だからこそ缶数の写真や工程の報告を出せる業者は品質管理を本気でやっている証拠ですし、口約束ではなく「証拠」を出してくれる業者を選ぶことが長持ちの条件です。

塗料のグレードよりも先に、工事のルールをきちんと守る業者を選ぶこと。2〜3社の見積もりを取って缶数や乾燥時間まで説明できる業者を見つけてみてください。

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